「いこーよ」「いこレポ」のWebディレクターをやってます、tsujimotoです。
「いこーよ」の姉妹サイトとして、2017年7月末にローンチしたお出かけ記事専門サイト「いこレポ」が、立ち上げ10ヶ月(2018年5月)で通算利用者100万ユーザー、8月には年間利用者200万ユーザーまで順調にグロースしております。
また、8月末まで実施していた1周年キャンペーンも無事に終了してひと段落したのもあり、晴れて開発者ブログに初参戦してみました!
今でこそ立ち上げたメディアを「順調にグロースできた」と(多少は)言える状態になりましたが、私自身アクトインディでお出かけメディアに携わる前は、7年ほど書籍やエンタメ系ECサイトのWebディレクターをやっており、メディアに関してははっきり言ってド素人状態でした。
そんな私がお出かけメディアのWebディレクターを3年やって思ったこと、良かったこと、やってみたことを3つに絞ってまとめました。
- 1.〇ヶ月待てば自然流入は増える?(我慢のSEO)
- 2.やっぱり速いは正義!(turbolinksと仲良くなったら)
- 3.コンバージョンポイントが見えづらい(貢献度可視化でモチベーションアップ)
- 最後に
1.〇ヶ月待てば自然流入は増える?(我慢のSEO)
ここでは実際に私が担当したコンテンツSEOの事例を2つ挙げたいと思います。
【事例1】いこーよ年齢別リニューアル(2015年11月)
元々は0歳~9歳の各年齢に応じた1枚ペラの特集ページだったものを大幅改修して、従来の年齢別の特集配下に年齢 × 地域・都道府県のお出かけ情報まとめコンテンツを追加しました。
結果
⇒⇒⇒ リニューアル後の自然検索流入数が、2ヶ月で4倍、1年で10倍、2年で30倍、3年で40倍!
雑感
リニューアルの目玉の年齢 × 地域・都道府県ページは、ローンチ2~3ヶ月でいったん上昇曲線を描くものの、その後大きく失速しました。Googleのindexが安定してないせいなのか、最初の6ヶ月は上がったり下がったりを繰り返していました。 流れが変わったのはリニューアルして8ヶ月が過ぎたころ。横ばいの月もあるものの、今までのように大きく落ち込む月はなくなり、15ヶ月目には確かな成長を実感できるまでになり、最近1年はリニューアル前の実に"40倍"で推移しています。 (因果関係ははっきりしませんが、社内では17ヶ月目にhttps対応したことによるブースト説あり?)
学んだこと
最初の半年はとにかく我慢。1年半くらい我慢できれば結果はついてくる! いこーよのお出かけ一覧とのカニバリが懸念されましたが、Google側でいい感じにLP最適してくれているようです。40倍成長でそれなりのトラフィックを稼げるようになったことで、鈴鹿サーキットさんに年契で広告出稿いただけるまでになりました!(感謝)
【事例2】いこレポ(2017年7月)
「いこーよ」の姉妹サイトとして満を持してオープンしたものの、初月は夏休み中にもかかわらずリアルタイムアクセス1桁がざらという、閑古鳥が鳴いている状態でしたが・・・。
結果
⇒⇒⇒ 立ち上げ半年で1.8倍、1年で8倍に急成長!
雑感
季節要因でお出かけメディアには試練の冬場を迎えた逆境があれども、最初の5ヶ月は突発的なアクセス増加が数回あった以外は、ほぼ無風の伸び悩み・・・。 厳しい状況が続いて心が折れかける中、一筋の光が見えたのは6ヶ月目で迎えた春の訪れでした。なかなか数字が付いてこない中でも編集部がトライ&エラーを重ねてくれたことで、春休み期間にいくつか結果が伴う記事も出てきて、「強み」といえる切り口も生まれました。
地道な努力で得た経験と強みを生かすことで、2018年8月には前年8倍と一気にグロースを実感する規模に成長して、1周年を迎えることができました!
学んだこと
我慢、我慢、我慢。自然流入が伸び悩む中でも、編集部は方針を変えずにトライ&エラーを重ねてくれたこと、制作側も腐らずにサイト改善を進めたことで、直帰率も前年より5%ほど改善しました。
まとめ
一般的にSEOは「すぐに効果は出ない」「3ヶ月、半年かかる」などと言われますが、キーワードによってケースバイケースなところもあるし、実体験が伴わないと腹落ちしづらい部分も多いと思います。私自身、前職ではDVDやCD、書籍のSEO対策をやっていましたが、旬が短い商材のテールワードで十分な効果を図ることは難しく、じっくり腰を据えてGoogle先生(自然検索)と向き合いたいと思っていた中で、実際に新規コンテンツやメディア立ち上げを経験させてもらうことができ、実体験で語れるようになりました!
2.やっぱり速いは正義!(turbolinksと仲良くなったら)
「いこレポ」は「いこーよ」と同様、Ruby on Railsで開発されていますが、「いこーよ」では未利用のturbolinks(ページ遷移をAjaxに置き換え、JavaScriptやCSSのパースを省略することでレンダリングが高速化するgem)を実験的に使っています。
Rubyエンジニアには広く知られているそうですが、このturbolinksはレンダリングの高速化とトレードオフで、JavaScriptのイベントが発火しなかったり、Google Optimizeと併用した際に表示不具合を起こしてしまったり、なかなか厄介な存在です。
ただ、やっぱりレンダリング高速化の恩恵は大きく、ネイティブアプリと見間違えるくらいの爆速ぶりを見せてくれるので、できることなら活用したいと思う心理もわかります。(悩ましい・・・)
じゃあturbolinks外したら数字的なインパクトってどのぐらいだろ? ということで、思い切って外してみました。気になる結果は・・・。
結果
⇒⇒⇒ turbolinks外したら回遊0.7落ちた~( ;∀;)
まとめ
やっぱり速いは正義でした・・・! 体感では若干遅くなったかなぐらいでしたが、結果は如実に表れていて、回遊落ちとともに直帰も3%程度悪化しちゃいました。この時は2日間turbolinksを外しましたが、やっぱり今の「いこレポ」には必要ということですぐに戻して現在に至ります。そのためイベント発火の関係で読了率が取れなかったり、広告impに影響出たりと問題は抱えていますが、うまく付き合う方法を模索中です。
SEO的な観点でGoogleのスピードアップデートやモバイルファーストインデックス(MFI)とturbolinksの関係性は未知な部分も多いので、興味のあるエンジニア、ディレクターはぜひ色々実験してみると良いと思います!※あくまで自己責任でお願いしますm(__)m
3.コンバージョンポイントが見えづらい(貢献度可視化でモチベーションアップ)
WebメディアとECとの決定的な違いであり、自分の中でモチベーションが上がらない(+モヤモヤを感じていた)原因になっていたのは、Webメディアでは「商品購入」ような明確なコンバージョンポイントが設定できない、つまりユーザーがどんなアクションを取れば成果になりGoalとみなすか可視化しづらい点でした。
やってみたこと
そこで「いこレポ」でやってみたのは、記事の中でお出かけ施設やイベントを紹介する枠から「いこーよ」へ遷移した数を「仮想コンバージョンポイント」に設定することでした。実際にGoogleアナリティクスの目標に「いこーよ」へ遷移した数を設定しました。
結果
⇒⇒⇒ 来訪セッションの約10%が、この枠をクリックして「いこーよ」の施設ページに遷移し、「仮想コンバージョン」していた!
まとめ
一般的にメディアの主要KPIは直帰や回遊、滞在時間などで図ることになりますが、必ずしも直帰や回遊だけでページの良し悪しを判断することはできません。
特に「いこレポ」の場合、turbolinksの影響で読了率が取れないため、必然的に直帰・回遊を重要視することにはなるものの、例えば外部サイト扱いの「いこーよ」へ遷移した段階で離脱扱いになってしまい、ただ直帰や回遊を見ていただけでは記事がユーザーニーズに応えられたのか応えられていないのか判断することは困難でした。
今回約10%が「いこーよ」に遷移していたことがわかったことで、(ざっくりですが)アナリティクス上の直帰率より実態は10%低く、回遊に換算すると+0.1程度の効果になることがわかりました。
記事単位で見ても傾向が違っていて、例えば直帰率が平均より高い記事だけど実は20%が「仮想コンバージョン」していたなど、直帰や回遊、滞在時間からは見えてこない「本当のユーザー行動」が可視化できたのが大きな収穫でした。数字が可視化できたことで、貢献度もより具体的になり記事を作っている編集担当のモチベーションアップに繋がりました!
最後に
SEOもサイト改善も実行してすぐに大きな成果は望めません。せっかく作ったコンテンツが半年~1年経っても伸び悩みでいてお困りのWebディレクター・Web担当者さんは、ぜひ現状の施策を振り返り、いまは「待ち」の時期なのかそうでないのか冷静に分析してみてください。そして、いまできる範囲でトライ&エラーを繰り返してみることをオススメします。自分を信じてやり切ることができれば結果は必ずついてきます! また経営層や役職者の皆さまは、温かい目で自社のWebディレクターの施策を信じて応援いただければ幸いです。(切に…)
アクトインディでは、こんな感じで「いこーよ」「いこレポ」といったお出かけメディアと向き合い、試行錯誤しながら一緒に成長させてくれるエンジニアや新しい仲間を募集しています。思い切ってトライ&エラーするにはいい環境だと思います!
★いこレポの立ち上げについては、エンジニアmorishitaの投稿もあわせて読んでみてください★